≪安全に被後見人の財産を管理するには…≫
成年後見制度において、後見人による不正(預金使い込み)等が社会問題化しています。
現在、一定額の財産を有する被後見人の財産保全について、静岡家庭裁判所は「後見制度支援信託」と「後見支援預金」の利用をすすめています。(下記にそれぞれの特徴をまとめています。)

≪後見制度支援信託とは…≫
後見制度支援信託は、本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。(※1、※2)
本人の財産を適切に保護するための方法の一つです。信託財産は、元本が保証され、預金保険制度の保護対象にもなります。
後見制度支援信託を利用すると、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりする時に、必ず家庭裁判所の指示書を必要とします。
※1 成年後見と未成年後見において利用することができます。保佐、補助及び任意後見では利用できません。
※12 信託することのできる財産は、金銭に限られます。

≪後見支援預金とは…≫
後見支援預金とは​、後見人が裁判所の指示書によって利用できる普通預金です。
◇被後見人の預金のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭は、後見人自身で管理し、残額は「後見支援預金」として、家庭裁判所の指示書に基づき別口座で管理します。
◇後見支援預金における入出金には、家庭裁判所の指示書が必要となり、後見人による被後見人の財産管理の透明化が図れます。
◇平成29年7月からの静岡県内12信用金庫の取扱いを皮切りに、取り扱いが拡大しております。令和2年4月現在、ほぼ全国の信用金庫が取り扱いを開始しています。
◇信用金庫以外の金融機関でも取り扱いを開始しており、後見制度支援預貯金と呼ばれるようになりました。後見制度の利用を身近なものにすることができ大変嬉しく思っています。

【後見支援預金の特徴】
全ての取引(入出金・解約等)に家庭裁判所の指示書が必要となります。

1.普通預金であり、いくらからでも預入することができます。
2.普通預金であり、手数料はかかりません。
3.金利は、定期預金1年もの店頭表示金利を適用しています。(※3)
4.キャッシュカードは発行されません。
5.親族後見人がそのままで直接口座を開設できることが認められる場合があります。(※4)
6.信用金庫での取扱いである為、身近な店舗を利用することができます。
7.現在は、「後見」の類型のみの取扱いとなります。(※5)
8.被後見人名義の他預金と合算して1,000万円までの元金と利息が預金保険の対象です。

※3 各信用金庫で金利が違います。上記は沼津信用金庫の例です。
※4 家庭裁判所の判断により専門職後見人が選任される場合があります。
※5 今後、保佐・補助への取扱いが検討されています。